みなさんこんにちは、オケラです。洗い屋という工務店さん向けの掃除屋をしています。掃除の基本は汚れに対し、何を使えば最も効率的に除去できるのかを、しっかり見極めてからおこなわなければ、骨折れ損になってしまいます。ブロック塀や駐車場のコンクリートに密着しているコケや泥の汚れを、ブラシでごしごししたところで、ましにはなっても、すっきりとはならないですよね。なぜでしょう?どんなに毛の細く腰の強いブラシを使ったところで、ブロック塀などの、繊細なでこぼこに身をひそめたコケや泥たちを、片っ端から掻き出すのは到底無理だからです。ところがこの高圧洗浄機は、水という分子レベルのブラシを使い、あらゆる角度から目にはみえないぐらいのでこぼこに中に住み着いた汚れたちが、水を吸って柔らかくなったところを、高水圧で強制的に押しだしてしまうという、理論的な裏付けもばっちりな、実に頼もしいお掃除マシンなのです。見た目にも機関銃のようで、なんだかかっこいいですしね。実際に洗い屋のみんなは、高圧をうつっていいますよ。
ホームセンターやネット上にも、どの機種を選んでいいのかわからないぐらい、たくさんラインナップされています。ケルヒャーが圧倒的でアイリスオーヤマとリョービがそれに続いているような印象です。各メーカーの開発者の方には申し訳ないですが、どれを選んでも汚れが飛んでいくのには、間違いありませんし、ずば抜けて性能差がでるような製品でもありませんから、予算とデザインや大きさなどのルックスで、気に入ったものを選んでもらっていいと思います。おっさんええ加減なこと言うなよと、笑われてしまいそうですが、それには訳があります。僕はケルヒャーのK2クラシック(ホームセンターで税込み20000円弱でした)と、K4サイレント(ホームセンターで税込み51000円でした)の2台持ちです。お値段は倍以上違いますが、肝心の噴射圧力や水量などは倍も違いません。1.5倍もいかないぐらいでしょう。カタログのスペックにも許容圧力がK2は8、K4が11とあり、吐出水量も1時間当たりK2が330L、K4が400Lとなっておりました。実際の手ごたえの違いも、そんなもんです。ですが、間違いなく洗浄スピードは上がりますので、2~3割のパワーアップのために予算を倍にできる方は、最初からハイエンド機種にしてもらっても、間違いではありません。付属のアクセサリーも充実していますしね。でも、エントリーモデルでも、洗いの仕上がりレベルには、何ら違いはありません。少し時間がかかるだけなのです。ところで、エンジンタイプの高圧洗浄機はどうかといいますと、あれはもう別次元の代物です。しっかり構えておかないと、体を持っていかれてしまう程です。あの性能は、ペンキ屋さんの外壁の塗装前の下地処理としての汚れ落としや、工事現場でダンプや重機の泥を落としたりするものであり、船底の藤壺なんかも除去できてしまう程の破壊力ですから、一軒家の掃除には、少々持て余してしまうでしょう。
リョービという会社は京セラのグループに入ったようです。リョービ(京セラ)のホームページの高圧洗浄機の内容はとても丁寧で、好感が持てました。僕の説明はずいぶん偏っていますので、ぜひこちらもご覧になってください。
よくメーカーのデモ動画などで、きれいな服を着て、くつのまま使用している姿を見かけるのですが、実際やってみると、自分を汚さないようにするのは、かなり困難です。広々とした所なら、大丈夫なのかな。でも、いくら注意していても、急な跳ね返りなどでだんだん体全体が汚れてしまいます。帽子に長靴、できればエプロンなんかも有効です。そのまま家に入ったら、ご家族に怒られますよ。そして、その吹き飛ばした汚れたちは、遠慮なくご近所にも飛び散りますので、作動音と共に、少なからず配慮が必要です。音はずいぶんとましになってきましたし、作業開始早々、苦情が入るレベルでもありませんが、サイレントでも当社比何パーセント削減であろうとも、うるさく近所迷惑なものだと認識してもらったほうがいいでしょう。歩行中の方にも十分に気をつけるよう、場所によっては見張りを立てた方がいいぐらいです。
どのメーカーも、バリオスプレーランスという、扇型に広がる圧力の調整が効くタイプのノズルと、丸く円を描くようなサイクロンジェットノズルという、2本が標準装備されていると思います。長年かけ、ひどく苔で汚れた駐車場のコンクリートを洗う時、いかな高性能な機体でも、必ず取り切れない汚れがでてきます。バリオスプレーランスは水が真っすぐ扇型に広がりますので、きっちり一定の幅で縦や横などの方向を決めて、洗浄作業を進めていけば、落とし切れていない汚れがあったとしても、線形さえ整っていれば、なぜだかそんなに見苦しくは見えてこないのです。運動場にトンボをかけたらきれいに見えるのと、同じなのでしょうか。サイクロンジェットノズルを使うと、固い汚れに当たった時、薄っすらと、丸い輪の模様がいくつも連なって残ってしまい、なんともだらしなく見えてしまうので、僕はあまり使いません。僕は掃除でお金をもらっていますので、きれいにできなくても、最低限きれいに見えるように、おさめないといけません。また、洗浄前よりは、汚れ自体が落ちていたとしても、それがきれいになっているように見えないようであれば、それはいい仕事をとはいえません。ですので、高圧洗浄をした所とそうでない所で、くっきりとした線形や角を出せるバリオスプレーランスの方を、良く使っています。
なかなか便利のいいアイテムがあります。お椀型をしたノズルなのですが、水はねの許されない、マンションの共用廊下やベランダには必需品です。住人の方の服や洗濯物を汚してしまっては大変です。ケルヒャーならばテラスクリーナー、アイリスオーヤマでは高圧回転ブラシ(ややこしいですが、回転ブラシという製品もあります)、リョービでは高圧回転クリーナー、というアクセサリー名です。マンションの共用廊下によく使われている、縦横に滑り止めのパターンの入ったものは長尺シートといって、タキロンという会社の製品が多く使われているようです。
この細かなブロックの隅に入り込んだ苔などの汚れは、ブラシとはかなり相性が良くありません。僕はベランダぐらいなら、小判型の大きめのブラシを、たてたてよこよこフンフンうなりながらこすっていきますが、長い共用廊下では、そうもいきません。そこでテラスクリーナーの出番です。テラスクリーナーは水はねをずいぶんと抑えてはくれるのですが、先ほど触れた通り、コンクリートにこびりついた固い汚れの場合には、なんとも不細工な洗浄跡(痕?)を残してしまいます。ですが、滑り止め処理のされた凸部分以外、おおむね表面のなめらかな長尺シートでは、その影響をほとんど受けずに済みます。お椀の縁に植え込まれたブラシが、水はねを抑えながら、表面の汚れを軽く起こしてくれて、スピーディーに実にいい仕事をしてくれます。とはいうものの、特にそんな使い方はしないよな、という方には、バリオスプレーランス1本で十分に事足ります。
ところで、各社フレキシブルノズルという名称のアクセサリーがあります。ノズルが折れ曲がるので、ユニットバスのエプロンを外した湯舟の裏側を洗う時、重宝します。ですがスライム(ヘドロ)や髪の毛などが思わぬ方向から吹き飛んでくるので恐怖です。
また、延長パイプという高所作業に適したアクセサリーがありますが、反動がとても強く、なかなか狙いが定まりません。僕はカーポートのポリカ板(透明のプラスチックの屋根材です)の上面をきれいに出来るかなと思い、フレキシブルノズルと共に購入しましたが、失敗でした。ポリカ板の上面の汚れは、見た目以上に固着しており、高圧洗浄機は相性が良くないみたいです。また、跳ね返りがすさまじく、隣家と密接しているようでしたら、やめたほうがいいですね。
そして、汚れが落ちてきたら、ホースでブロック塀やコンクリート土間などを、すすいでやらなければなりません。見た目にはきれいになっていても、表面には浮いてきた汚れがたくさん残っています。そして、ちゃんとすすぐには水量が必要となりますので、高圧洗浄機ではできません。散水ノズルで流してやると、汚れがいっぱい流れ出てきますよ。ところで、恐らく皆さんも、家の外の散水にはタカギなどのコネクター(カップリングやアダプターとも呼ぶみたいです)と散水ノズルをセットにしている物を普段使いにしていると思いますが、最近のコネクターは高圧洗浄機のコネクターと呼び径が同じようなので、散水ノズルに使用している同じホースのコネクターと高圧洗浄機本体側の給水コネクターに、そのまま差し替えられます。ちょっと楽ですよ。ですが、セットして使用した高圧洗浄機からホースを抜くと、また使う時に、一度スイッチをオフにしてから、エア抜きしなくてはいけません。それは仕方がないですね。
僕が初めて高圧洗浄機を購入したのは15年ほど前になります。アイリスオーヤマのエントリーモデルでしたが、ずいぶんと長く使ったものでした。初め、どんなもんかいなと、噴出している水流を触ろうとして手を切ってしまいました。うわわわわーと叫んでいる僕を、お前あほやろと言いたげな様子で、父上がじっと見つめていたのが、昨日のように思い返されます。当時のアイリスオーヤマのノズルは、トリガーガンを構えて地面に対して垂直の扇型で、噴射していましたので、ほうきで掃くように、体を左右に揺らすだけで洗浄できるので楽でした。今は多分どのメーカーさんも、トリガーを構えて、地面に対して水平に噴射されるので、足元を洗浄するには、前に押し出すようにするか、腕を返して左右に振らなければならず、とても使いにくくなってしまったのは、残念なことです。まあ、きっと僕の使い方は少数派なんでしょうね。
どこの誰だか知りませんが、本当に良い品を生み出してくれたものです。高圧洗浄機の、コンクリートなどの苔汚れに対する洗浄能力は、比類の無い飛び抜けたものです。これ以外に選択肢がない程でしょう。こんな優れた機械を、名立たるメーカーが1万円程度からでも買えるようにしてくれていて、ありがたいことですね。ではでは
ここでは紹介できませんでしたが、他にも高圧洗浄機をラインナップしている会社がたくさんあります。一度購入したら、10年ぐらいは使えますので、価格コムなどでメーカー名をリストアップしてから検索しても、面白いですよ。
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