散水ノズルを選ぶ時の注意点は?知っていればおすすめを買わなくても大丈夫

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 みなさんこんにちは、オケラです。洗い屋という工務店さん向けの掃除屋をしています。僕は散水ノズルをにぎり続けて20年ですが、このノズルが最高ですよ!とういうおすすめはありません。まあ、一応最後にご紹介はしますが、洗い屋の僕にとっての最高であり、みなさんにとって最高なのかはわかりません。ですので散水ノズルを選ぶ時の基本知識をお伝えしたいと思います。

 散水ノズルの購入を検討中の方の多くは、ホースはあるのでノズルだけ交換という方がほとんどだと思いますが、まずはホース選びからお話します。始めに長さです。下の図はおおよそ30坪の敷地に建物が乗っていると思ってください。星から星までの長さは15Mのホースだと、まあだいたい届くかなあ、10Mのホースだと角を曲がってちょっとぐらい、20Mだと無駄に長いぐらいでしょう。家の裏までホースを引っ張ることがあればの話です。

 マンションの場合は、ベランダにSKシンクがついていれば問題ありませんが、洗濯機の水栓から引っ張りたい場合、洗濯機置き場が家の中央にあるか、玄関側にあるのかで、必要な長さが微妙変わってきます。70㎡ぐらいの一般的なファミリータイプのマンションだと、10Mだとベランダまで届くけれども、お隣との境目の間仕切り板までは届かないことが多いですね。でも、間取りやベランダの位置によって全く変わってきますので、目安の長さもお話できません。すいません。ちなみに、洗い屋は洗濯機用の水栓からホースを引っ張るとき、下のようなアダプターを自作しています。

下が洗濯機用の水栓からホースにつなぐための自作ジョイントです

 次は太さです。ホースが太ければ太い程、水道管から送られてきた水圧と水量をロスなく使うことができますが、実際に水撒きなどに使うと、太いホースは重く固く扱いにくくなり、ホースは細ければ水量は減るものの、確実に軽く扱いやすくなります。そして重要なのはホースの内径です。そんなの小学生で習っているから知ってますよと言われてしまいそうなのですが、念のために、おさらいしておきましょう。仮にホースの内径(直径)を6ミリ・9ミリ・12ミリとすると、6ミリと12ミリでは直径は2倍の差ですが、切り口の面積では(円の面積=半径×半径×3.14)で計算すると

  • 6ミリだと28.26㎟。
  • 9ミリだと63.585㎟。6ミリの2.25倍
  • 12ミリだと113.04㎟。6ミリの4倍、9ミリの1.77倍

このように、内径の差がそのまま断面積の比率になりませんので、送り出せる水量にずいぶん差がでてしまいます。

 僕が使っているホースです。アップし過ぎて感じがわかりにくいですね。扱いやすいのはもちろん緑色のホースですが、僕はほとんど使いません。蛇口を目一杯回して全開にしたとしても、道路の水道管から送られてくる水圧が低いと、細いホースの場合、水量が乏しく、途中でホースが折れ曲がったりして水がほとんど出なくなったりすることがあるので、使いにくくてどうしようもありません。たとえ水圧が弱くなくても、最大水量が低くなるので、蚊の多い季節でバケツに水をくむときなど、なかなか水がたまらずイライラします。ところで蛇口からの水圧ですが、築年数が40年に近い長屋や文化住宅で低いことがあります。マンションは高層階・低層階にかかわらず、基本的に低いですね。それ以外のほとんどの地域は、僕の経験上たいてい大丈夫です。そして細身のホースは水圧のちゃんとある地域だと、問題なく使えるのですが、それでもシャワー水形でベランダやタイルの泥汚れなどを押し流すには、いくぶんパワー不足になりがちです。それと、戸建ての場合、ガレージの散水栓から3階のベランダまでホースを引き上げたりして使うと、やはり水圧が弱まりますので、どうしても水量が乏しくなり、作業性が落ちます。ブルーのホースは僕の経験からですが、水道の水圧が高い地域だと、ホースがパンパンに張って固くて曲げにくく、しかもずっしりと重たくなり使いにくくてたまりません。じゃあなんで持ってるの?と言われると20年前に知り合いからもらったからで、自分で購入したわけではありません。僕たち業者は作業時以外は常に水抜きをして作業車や物置に保管しているので、ホースがちっとも劣化しないのです。また、ホースをズルズル引きずった際、龍のひげなんかは問題ありませんが、茎の弱い花なんかは、もう再起不能でしょう。家庭用として使う分には外径17㎜の真ん中の半透明のホースが水圧・水量とも過不足なく使えますのでの無難です。とくに水撒きの場合など、早くたくさん撒きたい時、せっかくの水圧を最大限使わなければもったいないですよね。

 それと、散水ノズルを使用する場合、ホースは糸入りでなければ、そのうち破けてしまいます。ちょっとぐらいは大丈夫ですが、いずれはホース方向に裂けてしまい、魚の背ビレのような形のミスト放水をします。見た目にはとてもきれいで、子供たちが喜んでジャンプしたりしますよ。そしてひとたび穴が開いてしまうと、粘着力の強いテープでぐるぐる巻きにしても、漏れは止まりません。

 ところでホースの巻取機ですが、ホースの露出したタイプとボックス内に収納されたタイプとがあります。ここは予算にかかわらず、ボックスタイプがいいでしょう。ホースには可塑剤(かそざい)というホースをやわらかくする添加剤が含まれているのですが、これが屋外で太陽光を浴び続けると黒く変色し、ホース表面がベタベタになります。長期間放置していた筆箱の中で、消しゴムとプラスチックの定規がひっついて一体化している、あれの原因が可塑剤です。使い終わるたびに物置にしまえばいいのですが、なかなかそのようなわずらわしいことはできませんよね。僕のホースは常に作業車に置いたままなので、20年たってもいっこうに傷む気配がありません。30年前のホースもあり、さすがに真っ黒ですが、ベタベタにはなっていません。冬期の凍結予防の為にも、囲いがあると無いとでは大違いです。天気予報などで最低気温は0度ですなんていっても、地表から1・5Mの高さの温度ですので、実際地表はもっと冷えているはずです。水抜きは必須ですが、少しでもホースが傷まず長持ちするよう、ボックスタイプがおすすめです。

ホースの表面が黒く変色しています。ベタベタして使いにくいです

 世の流れはワンクリックというのか、ワングリップと呼ぶのかわかりませんが、一度握り込むとカチッとロックがかかり、水が出しっ放しになるノズルが主流のようです。確かに、水撒き中、ノズルを握り続けるのはかなり疲れますので、これは大変に大きなメリットです。微妙な水流の調整を頻繁に行わず、最大水量で撒き続けるのであれば、迷いなくこちらです。ワングリップタイプのノズルには、当然操作性の良い水量調節ダイヤルなどもついてはいるのですが、レバー式と比べ、散水しながらの水量の微妙な調節は不向きです。でも、普通使いにはこの方がいいのでしょう。レバー式には前レバーと後レバーがあり、微妙な水量の調節は後レバーの方がいいですね。レバー式にもフックがついていて、水を出しっ放しにできますが、ワングリップタイプと比べると、フックをかける際、手元の操作にコツが必要です。新しいうちは大丈夫なのですが、古くなってくると、当初の動きの滑らかさがそこなわれてきますので、片手操作でフックをかけるは難しくなってきます。また、水圧のかなり強い地域だと、レバーが跳ね戻されるような感覚となるので、ほんの少しだけ水を出したいときに、簡単に軽く握り込めません。その時、前レバーだと、4本の指それぞれに、力を加減する必要があるのですが、実際、固いレバーを指の力で細やかに調整するのはなかなか難しいです。後グリップだと、親指1本か、手のひらの腹で調整できるので、微妙な水量を調整できます。まあ、ここまでこだわった使い方をする人は洗い屋ぐらいでしょう。洗い屋は家の中にホースを通して窓枠を洗い流さなければならない時がありますので、水を一滴もこぼさず、繊細な加減が必要な時があるのです。

このダイヤルを回すと水量調整ができますが、あまり役に立ってくれません
水圧が高いと、レバーが跳ね戻されます

 水形は主に3つ、シャワー・ストレート・広拡散で、後は、じょうろや、霧?水平の広拡散、整流という名のダラダラした流れを組み合わせたパターンでしょうか。ところで本格派の園芸用ノズルは、シャワーの水流が驚くほど繊細で柔らかく上品です。ふわふわしていて思わず触りたくなります。花や土が傷まない配慮なのでしょう。僕が今お話している散水ノズルとは、別ジャンルのノズルです。ですので洗車などには不向きです。では、同じ水道からから水を取った場合の比較をしてみましょう。

水の出てくる円盤をスクリーンといいます

 左からスクリーンの直径が6㎝・5㎝・5㎝・6㎝です。注目すべきは穴の数と大きさです。シャワー使いでの使用の場合、一番左と一番右は同じような勢いの水形をしますが左は細くたくさんの線が、右はややくっきりした太い線となります。水量は十分ですが勢いは真ん中の2つに及びません。やさしく植木や花に水撒きするのに調度いいでしょう。左から2番目は両端と比べ、水量は少し劣りますがその分勢いがあります。洗車やそんなに気を使わない水やりに適しています。右から2番目は良く見かけるので少し説明をつけたします。

中心のシャワー縁のシャワー別の水形となります。

 ヘッドを回すとカチカチッと子気味のいい切り替え音がして、水形が変わります。そして水形のバリエーションは、この形式が豊富です。シャワーにしてもストレートにしても、それぞれの水形の穴が小さいので、勢いは強いのですが、同じホースでの水量はどうしても他の3つと比べて見劣りします。そこまで水量を求めていないのであれば、細身のホースとセットで使うと、場所もとらず、散水ノズルとして十分に見合った働きをしてくれます。何でも適材適所。水量重視の僕でも、予備にひとつ用意しています。

タカギ限らず、メタルボディはかっこいいデザインばかりです

 ところでボディが金属性のノズルがあり、かっこいいものですから目を引きます。やや重たいのですが、使いにくい重たさではないのが不思議ですね。重たく丈夫なものですから、何かの拍子にお庭の植木鉢などに当たってしまったら、運が悪いと鉢が割れてしまいます。仕事に行って、お客さんの物を壊しては大変ですし、やはり軽い方が長時間の使用には負担が少ないので、僕は使っていません。仲間の職人おじさんAにあげたら大喜びしていました。バランスのとりやすい重さなんだとか。ところで金属製なのは基本ボディだけなので、それは石の上に落としても砕けない頑丈さという意味合いであり、使用頻度や経年数から、各パーツの摩耗によって引き起こされる水漏れに対する耐久性・耐候性とは別のものです。どこまで頑丈なのかは個々の製品によります。

 以上、長々とお話させていただきました。散水ノズルを選ぶ時の注意点は水圧とホースの太さと散水ノズルのスクリーンの大きさです。それによってコントロールできる水量・水圧の上限が決まってきます。それさえ押さえていれば、後はデザインと予算でしょう。ネット上やホームセンターの散水コーナーに、ありとあらゆる散水ノズルが並べられています。僕の経験が皆さんが散水ノズルを選ぶ時の一助になれば幸いです。

スリムノズルファイブRS(FJ)【交換用パーツ】 G179FJCR - 散水機のタカギ《公式》
交換用パーツのスリムノズルファイブRS(FJ)(G179FJCR)です。こちらの交換用パーツは、R110FJ,R115FJに対応しています。

 最後に僕が15年以上使用している散水ノズルをご紹介します。タカギさんのホームページでは、販売が終了した商品のスリムノズルファイブRSとなっているのですが、なぜだか同じものが令和2年5月の段階でAmazonで販売されています。しかも、コネクターつきで813円の安さ。ホームセンターでは、コネクターだけで400円ぐらいしますので破格の安さですよ。

タカギ散水ノズル QG2002 後レバーノズルS コネクター付き

 こりゃうれしいなと思い、早速上限数の3個を購入し、欲どしいく、すぐさらに3個買い増そうとすると、買い占め防止の為、続けての購入はできないとのことでした。1週間ほどすると、また買えるようになりました。僕にとって、このノズルの良いところは、軽く、スクリーンの直径が5㎝なのでシャワー水形での水圧が強く、微妙な水量調整がしやすいことです。スクリーンの直径が6㎝になっただけで重たく感じられるようになりますし、ピンポイントで汚れを流したい時に、6㎝のスクリーンでは狙いを絞りにくくなります。ほんの少しの水量のシャワー水形にしたいときも、水圧とスクリーンの直径のバランスが悪いのか、シャワー水形にならずにダラダラ垂れてしまうため、水量の調整が大雑把にしかできなくなり、それが作業時のストレスになります。また、足場での作業時にレバーが建地(たてじ・足場の垂直方向の部材)や単管(たんかん・パイプ全般のこと)に引っ掛けておきやすく、さらに、ちょっとした小物だったらバケツにいれて、レバーにひっかけて下の人に降ろして渡したりもらったりもできたりします。これは工事現場ならではなのですが、新築工事の仮設水道や、マンションのリフォーム工事の仕上げ段階では、水道管に砂粒や鉄さびなどの異物が入りやすいので、時々ノズルが詰まります。その時、ドライバーなしでスクリーンを外して掃除できるのも、このノズルのいいところです。以上つらつらと述べさていただきましたが、まあ、水撒きノズルとしての使用上のメリットとはほとんど無関係でしたね、すいません。恥ずかしくなってきました。ではでは

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